歩き遍路3巡目 通算5日目 桜屋旅館~鱗楼

2013年5月4日(土)

 今日も、朝早く出発するため、旅館の朝食は食べずに、前日に近所のコンビニで買っていたパンなどを食べて、出発。朝5時半なのに、旅館の女将が見送ってくれた。

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 昨日通過した鍋岩の、玉が峠入口まで、小一時間かけて戻った。うっそうとした山道をのぼる。

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 朝一番なので、そこまで苦にならずに、峠を越えられたが、焼山寺をお参りした後、奥之院へ往復し、更にここを越えて、植村旅館まで行くのは、なかなか厳しそうである。おまけに、今回行けなかった神山の上一宮大粟神社や雨乞いの滝へも行きたいので、4巡目があっても、やはり桜屋旅館にお世話になることになりそうだ。

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 静謐な空間。とても気持ちがよかった。トイレもある。だが、静かすぎて、ここで野宿するのは怖い気がする。

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玉が峠を越えると、えんえんと下りが続く。道すがら、素敵な遍路小屋があった。ここからの眺めがよかったような気がするが、まさかの写真を撮っていなかった。遍路小屋の写真を撮るのに夢中だったのか、御接待のはっさくに夢中だったのか。

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なつかし、新聞入れ。もちろん、現役。

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 途中、遍路道を少しそれて下ったところにある、番外霊場の鏡大師に立ち寄った。

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 植村旅館付近にあった案山子。ちゃんと、進む方向を指差してくれている。

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案山子の応援はつづく。

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思いがけないところで、ハイクオリティ。

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 思いがけないところで、峠道。少しの峠なのだが、まったく覚悟していなかったので、意外ときつかった。

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 峠を越えると、人一人通るのがやっとの細い橋を渡り、県道20号線に合流。あとから気づいたが、植村旅館前で案山子の指差す方向を無視して、そのまますすんでいれば、おそらくずっと20号線を通り、峠越えをしなくてもよかった気がした。が、案山子を無視するのも、なんだかつらいので、結果よしとしとこう。

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 別格札所2番童学寺へ向けて歩いていたが、足に豆が出来始めているのに、気づいた。1巡目、2巡目は同じ靴を履いて歩きとおしたが、ほぼ豆ができず、とても助かった。今回、さすがに、3巡するのは無理だろうと靴を買い替えたのだが、残念なことに横幅が微妙に小さかったようだ。休憩するところも見つからないので、童学寺まで、何もせずに歩くことにした。

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童学寺は、遍路地図だと、新童学寺トンネルを抜けたあと、すぐ左に入る近道があるようなのだが、前回は見つけられなかった。今回も、遍路札は見つからず、自力で道を見つけようと、寺に通じていそうなところを必死にウロチョロする。何せ、豆が痛いので、一回下って、またのぼるなどと悠長なことはしていられないのである。必死の捜索のおかげか、何とかそれらしき道をみつけて、童学寺近くに出ることができた。ただ、遍路札も見当たらず、あれが正解の遍路道だったのか、いまだにわからない。

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お寺の建物は、中国の影響を受けていて当然なのだが、四国でお参りした寺の中で、童学寺のこの山門ほど、中国を感じさせるものはない、と思う。

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お参りをすませたあと、豆の処理をするため、人目がないところを探し、さまよう。境内の庭は、まさに春爛漫。藤棚を手入れしている職人さんが、寺だろうが何だろうがお構いなしに、大音量でラジオをかけていた。ユーミンの歌声が響き渡る中、ベンチにすわって、豆の処理をした。

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童学寺から、13番奥之院建治寺へ向かうためには、先ほどと同じ近道の遍路道を通り、新童学寺トンネルを通って、行者橋まで戻る。橋を渡って、山の方へ向かうと、おそらく建治寺の遍路道につながる車道へ出たが、ちょっと不安になっていたところ、ちょうど車がとまったので、建治寺に通じているか、尋ねてみた。「あってるけど、しんどいよ・・・。歩くの?」と、絶対におすすめしないという表情で言ってくる。仕方ないのである。寄り道し放題、怠け放題な私の、歩き遍路における唯一の信条は、「歩く」なのである。「・・・歩きます」と答えて、お礼を言って別れた。

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覚悟を決めて、えんえんと続くアスファルトの上り坂を登っていく。とにかくエンエンと続く。やっと、山道に入る遍路道にたどりついた。が、そこからも遍路札が少ないけものみちのような道が続いていた。

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麓から小一時間ほどで建治寺の広い駐車場に出た。

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立派な寺である。だが、こんなにも立派な寺なのに、人気がほとんどなく、納経所にもどなたもいらしゃっらなかった。

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本堂にお参りし、大師堂へ行くと、行場の一つである龍門窟への歩道があった。洞窟は一人の修験者により三年をかけて掘られたそう。かなり天井が低いので、中腰になってすすむ。最奥部には彩色された不動明王像が安置されている。何となく、写真をとってよいものか、迷い、結局写真をとらなかった。予定より、建治寺での滞在時間が長くなってしまったが、龍門窟は訪れてよかった。納経所は相変わらず人の気配がなかったので、納経はあきらめて、13番札所へ向かう。

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そもそも、建治寺には、ほかにも、有名な行場がある。今回、玉が峠を越えて、童学寺と建治寺にお参りするのに、どちらに先に行くか、迷った。通常は、建治寺→童学寺→13番札所のようだが、その行場があるのは、建治寺→13番札所への遍路道である。結局、童学寺→建治寺→13番札所のルートにした。建治寺を出て、13番札所へ向かう遍路道をすすむと、しばらくして、道が二つに分かれていた。一方は、行場を通るコース、一方は安全なコースである。不安になったが、とりあえず行場コースへ。

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こんな感じの鎖場が待っていた。鎖を両手でしっかりつかんで、下りさえすればよいのだが、そうなると金剛杖が、何とも・・・なのである。1巡目からずっと同行してくれた大事な杖である。折れたりしたらなぁと思うが、元の安全なコースの分かれ道まで戻るのもいやだった。最終的に、静かに、杖を下へ向けておとすという荒業に出た。

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降りた後、下から見上げると、こんな感じ。行場は、梯子の行場もあったが、とてもおそろしく、のぼらず、横を通過するだけにした。他にも滝の行場など、色々あったが、雨が降り出したせいで、ゆっくり見ることができなかった。f:id:akirazi:20170704200837j:plain

おなかが減ってきたが、雨のせいで、座って休憩することもできず、13番札所に到着。ちょうど、混雑しているようだったので、目の前の一宮神社を先にお参りする。こちらは、神仏習合の時代には13番札所大日寺と一体化していた。神仏分離によって、寺と神社に分かれたあと、少なくとも四国は、寺の方が断然栄えている。目の前の13番札所は混雑しているのに、一宮神社は私一人の貸切状態である。おかげで、静かにお参りできた。毎回お参りするものの、ご朱印はいただいていなかった。今回は、社務所宮司さんがいらっしゃったので、書いていただいた。

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 13番札所をお参りすると、予定より随分遅れていることに気がついた。今日は、16番のすぐそばの宿をとっている。明日の事を考えると、できれば、16番までお参りしておきたい。足の豆の痛さなど、無視して、急ぎ足になる。「おかしい・・・三巡目はゆっくり歩こうがモットーだったはずなのに」と思うが、仕方ないのである。

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14番札所は、何度見ても、その独特の庭が印象的。お参りをすませ、納経所が混雑していたため、一旦、14番札所奥之院・慈眼寺へ。15番札所へ向かう道すがら、少し左にそれたところにあるが、こちらまでお参りに来る人は皆無で、猫寺と化し、納札入まで、猫の寝床となっていた。

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納経をいただきに、一旦、14番へ戻る。と、その日、顔見知りとなった歩き遍路さんに「あれ、忘れ物?」と声をかけられた。違うのだが、なにせ説明する時間もない。曖昧な笑顔でかわしながら、なんで、こんな余裕がないことに!と思ったが、原因はわかっている。足の豆と建治寺を満喫しすぎたせいだ。

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とにかく、15番札所へ急ぐ。いつ見ても、15番札所の山門はその風格がいい。内部は整理中という感じもあるが、風情がある。いや、しかし、その風情をのんびり楽しんでもいられないのである。写真を撮る余裕もなかった。

 

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 結局、その日最速のスピードで、何とか16番に16時53分に到着し、本堂、大師堂、納経と17時までに済ませることができた。納経が済んだとたん、足の豆の痛みがぶりかえしてきた。明日が思いやられると思いつつ、今夜の宿・鱗楼へ向かった。

鱗楼は、今回が初めてだったが、夕食がとても美味しかった。

5:30 さくらや旅館~7:00 玉が峠

7:00 玉が峠~8:30頃 植村旅館付近

8:30頃植村旅館付近~10:36 別格2番札所

11:14 別格2番札所~12:58 13番奥之院・建治寺

13:30 13番奥之院・建治寺~15:00 阿波国一宮神社・13番札所

15:20 13番札所~15:45 14番札所・14番奥之院

16:10 14番札所~16:20 15番札所

16:30 15番札所~16:53 16番札所

※時間は、写真データからなので、おおよそ。

36km

鱗楼(夕食のみ)6,825円 洗濯100円