歩き遍路3巡目 通算10日目 日野谷支所前バス停~黒滝寺~役場前バス停

2015年5月3日(日)

 3巡目で奥之院もお参りしようと決めてから、いろいろ調べたが、中でも、二十一番奥之院 黒滝寺と、六十六番奥之院 長福寺は、大変そうだと思った。八十八か所、別格二十か所から大きく離れており、当時、歩き遍路のお参りの情報がほぼなかったからだ。

黒滝寺にお参りするには、ルートとしては、大きく、①別格3番慈眼寺から、月ケ谷温泉方面へ向かい、県道16号を歩く②21番太龍寺をお参りした後、那賀町方面へ県道195号線を歩く、がある。

①は宿が限られている(今は、黒滝寺近くにゲストハウスができているらしい)のと、google map ストリートビューで見る限り、県道16号線は後半が延々と景色の変化が少なそうな道で、県道195号線は国の登録有形文化財の本堂などがある萬福寺や農村舞台があったので楽しそうだった。結局、②のルートを歩くことにした

②のルートを歩くとして、予定としては、以下のように考えていた。

1.前回の最終地点:大下バス停~役場前バス停36km  

  バス10分で四季美谷温泉泊 

2.四季美谷温泉からバス 役場前バス停~黒滝寺~もみじ川温泉泊 33km

3.もみじ川温泉~平等寺 22km

G.Wにお参りするのだから、早めに予約しようと、3月にもみじ川温泉のHPを見ると、改装中の案内が出ていた。G.W前には、改装が終わるとなっていたが、予約はできなかった。その後、仕事のせいでいけない可能性もでてきたので、他の宿も予約しなかった。

ところが、4月下旬になって、仕事の都合もつき、行けることになった。慌てて、四季美谷温泉にTELしたが、団体でいっぱい、もみじ川温泉はまだ改装が終わってなかった。195号線沿いのほかの宿も、わじきの宿も、同窓会などでいっぱいで、とれなかった。

今回は歩き遍路自体をあきらめる、もしくは黒滝寺は次回にまわすなども考えたが、結局、片道分だけ歩くこととし、あとはバスを利用することとした。ただ、黒滝寺へは、徳島バスに乗り、途中で、徳島南部バス、那賀町営バスに乗り換えなければならない。バスの時刻が限られているので、それにあわせて、きわめて変則的な歩きになった。

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徳島駅から、6:20発徳島バス丹生谷線川口行に乗る。本来なら、前回の終了地点である大下バス停で降りる予定だったが、バスの乗換の都合のよい時刻などを考えて、徳島バス終点の川口営業所まで行き、徳島南部バスに乗り換えて、日野谷支所前まで行くことにした。

f:id:akirazi:20190222224755j:plain川口営業所には、8時前に着いた。目の前には、すでに廃業して長いとみられる日本酒の蔵があり、後ろには那賀川が流れている。なかなかいい場所だった。ところが、乗り換えの8時10分発のバスが、予定になっても運転手が来ない。時間を勘違いしただろうかと慌てたが、15分ごろ、ゆっくりと姿を現し、一安心。

運転手と、「お遍路を乗せることは滅多にない」などと雑談をしているうちに、あっという間に日野谷支所前バス停につく。いよいよ、黒滝寺まで、歩きだした。

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黒滝寺までの道は、黒滝寺麓までずっと川沿いを歩くこととなる。とても美しく、まったく飽きなかった。地元の方に話しかけられたときに、「とてもきれいな川ですね」というと、「上流はこんなものじゃないよ。もっともっときれいだよ」と笑われてしまった。次は、ゆっくり観光で来るのもいいかもしれない。

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途中、水崎新四国八十八箇所霊場の案内看板を見かけた。町道沿いに、八十八体の石仏があり、昔、地元の人が「病弱な人でも手軽に八十八ヶ所を巡拝できるように」と、 八十八ヶ寺から砂を持ち帰り、各寺院の本尊を刻んだ石仏を立てたそうだ。お参りしてみたかったが、黒滝寺への登りが待っており、時間がよめないので、断念した。

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長安口ダムのビーバー館で休憩をとる。行くまでは、道の駅みたいになっているのかと勝手に思っていたが、売店などはなく、ダムの資料館だった。トイレ休憩と一休みにはちょうどいい。

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出合で那賀川に別れを告げ、今度は坂州木頭川沿いを歩く。坂州木頭川も美しい。途中、拝宮への看板が出ていた。拝宮にも農村舞台のある神社がある。ぜひ行ってみたかったが、往復6km以上あるため、今回は坂州の農村舞台に行くこととし、またもや、泣く泣く断念した。

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ちょうど道の曲がり角に立派な神社があった。目の前のバス停には、十二社前となっていたが、鳥居には宇奈為神社とあった。

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ずっと川沿いの道なので、橋も多い。それらの橋を熱心に撮影してまわっている人もいた。

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バスを降りた日野谷支所前から、約3時間半、ようやく黒滝寺の麓口に到着した。

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近くのヤマザキショップ 木沢物産センターが、祝日のため、店自体は閉まっていたが、一部がバス待合所になっていて、そこで昼休憩をとった。店もトイレも建て直したばかりらしく、特にトイレは花が飾られ、使用するのもためらうぐらいピカピカしていた。腹ごしらえもし、いよいよ黒滝寺へと向かう。

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あらかじめ、ある程度調べていたので、覚悟はしていたが、本当に延々と登りがつづく。そんなに急勾配ではないのが救いだ。

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趣のある橋を通り過ぎて、しばらくすると集落があったが人影が全くない。しばらくすと、タクシーが降りてきた。乗車者を見ると、白衣を着ていた。今回、歩いている人は一人も会わなかったが、そのあとも2度ほど、白衣を着たお遍路さんを乗せたタクシーとすれ違った。奥之院参りや新四国まんだら霊場参りをしている人は、私が思うより、多いのだろう。

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麓から登り始めて小一時間ほどで、風車にたどりついた。旧木沢村が一望できる。

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ここから10分ほど歩くと、道が二手にわかれている。木の看板で、黒滝寺は右を指していたが、左にすすめば、加持久保八幡神社がある。お参りしていくことにした。このときは、たんに神社があると思ってお参りしたが、黒滝寺について、その縁起の説明を読むと、この神社も空海伝説の一部をなしていることがわかった。

(黒滝山保勝会・黒滝寺縁起より一部抜粋)「弘法大師が、太龍寺で修行中、突然神龍が現れ「那賀川の上流、黒滝山に大きな竜がすみ、世の人患(わずら)い多し」と告げ、かき消す如く去りました。大師は大竜を退治し、世の人々を救おうと那賀川を登ってこられました。竜王山を間近に望むところで日が暮れ、一夜を木の下の座し、虚空蔵菩薩一体を彫り上げ、草堂を建て安置した。大師はこの地一帯を祈祷名(きとうみょう)と名付けたが、後になり木頭名(きとうみょう)と呼ばれるようになった。大師はさらに進み、大竜降伏、悪魔退散の加持を自ら行い、竜王山に登った。この地は加持久保(かじくぼ)と称し、現在神社として祀られている。」

この最後に出てくる加持を行った地が加持久保八幡神社である。ここから左にさらにすすむと、細い道が黒滝寺へと続いている。

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麓から1時間半ほどで、ついに黒滝寺に到着した。立派な寺だ。なんとなく、太龍寺に似ている気がした。

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ゆっくりする予定だったが、お寺についたころから雨がひどくなりだした。やむを得ず、納経していただくと、下ることにした。麓に帰る道は、行きと同じ道である。途中、黒滝寺縁起に出てくる虚空蔵菩薩堂も通るので、お参りした。黒滝寺の往復路で会ったのは、タクシー3台とヤマトの車1台のみだった。麓に戻ってくると、雨が少し小降りになった。少し休んで、昼食をとったヤマザキと川を挟んで反対側にある坂州八幡神社に向かう。

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そこには、江戸時代に建築された舞台として、1998年に国の重要有形民俗文化財に指定された農村舞台がある。

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江戸時代の建築手法はもちろんのこと、人形芝居を今に伝える建築物だ。

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徳島県には、全国で最も多くの人形浄瑠璃の団体が活躍し、また、人形芝居用の農村舞台が全国一多く残っているそうだ。私が、今回行くのを断念した拝宮農村舞台もその一つ。年に1回あるという公演をいつかぜひ見てみたい

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また、川向うのヤマザキに戻り、バス停でバスを待つ。次第に日が暮れて、暗くなってきた。人影は相変わらず全くない。ポツンと心細げに立っていたせいだろうか、1台の車が止まった。「なんか困ってるんじゃないかぁ」と声をかけていただく。バスを待っているとこたえると、「そうか、そうか。もうすぐ来るはずだからな~」と去っていった。

この日、実はいろいろな方から、車のお接待のお申し出をいただき、またお菓子のお接待をいただき、そして気持ちのいい挨拶と労りのお接待をいただいた。来ようかどうしようか迷った黒滝寺だったが、とても気持ちがいいお参りになった。

暗闇の中にバスがきて、「お遍路を乗せることはめったにない」という言葉をまたもや聞きながら、今夜の宿のある徳島方面へとむかった。途中2回バスを乗り換え、宿についたのは、20時半ごろだった。

 

6:20 徳島駅~バス移動~7:55川口営業所

8:15 川口営業所~バス~8:20 日野谷支所前バス停

8:20 日野谷支所前バス停~10:30 ビーバー館

10:42 ビーバー館~11:57 宇奈為神社

11:57 宇奈為神社~12:00 ヤマザキショップ 木沢物産センター

12:38 黒滝寺麓の門~14:05 黒滝寺

14:38 黒滝寺~16:05 ヤマザキショップ 木沢物産センター(役場前バス停)

16:10 役場前バス停~16:25 坂州八幡神社農村舞台

16:40 坂州八幡神社農村舞台~17:00役場前バス停

17:30頃 役場前バス停~バス~春森上~バス乗換~川口営業所~バス乗換~20:15頃 県庁前バス停~ 20:30頃 タウンホテル千代

徳島駅~川口営業所 バス往復 1450円×2

川口営業所~日野谷支所前 バス 160円

役場前~春森上 バス280円

春森上~川口営業所 バス690円

タウンホテル千代 4,050円(素泊まり) 洗濯・乾燥 400円

34km